令和6年度民話研究センター公開講座を開催しました
9月7日(土)、本学を会場に令和6年度民話研究センター公開講座「子どもと民話・再考」を開催しました。
今年度は49名の方にご参加いただきました。
講座の内容は、前半に「子どもと民話」として佐藤晃・民話研究センター長の司会・進行のもと本学短期大学部子ども学科・川越ゆり教授より報告がありました。
そのなかで「子どもはおとなと異なり、言葉のもつ響きやリズムから言葉の世界に興味を持って入っていくこと」「ストーリー理解は3歳頃を目安に始まるが、子どもは昔話のストーリーだけでなく、ことばの音や響き、くり返しのリズムも言葉体験として楽しんでいること」などが報告されました。そして、その観点から民話に含まれるオノマトペや歌などの持つ力、さらには「方言が持つ音楽性、独特の響きや雰囲気等」の語りにおける有効性にも言及されました。
その後の参加者の皆さんによる意見交換では、主に「方言」による語りの難しさに意見が多く寄せられました。とりわけ子どもに聞かせる場合に方言を使うかどうか、使うならどのように使うのか等々、それぞれに意見が交わされました。
今回の報告は、子どもの「ことばの音楽性」への感性・関心に着目して、子どもに対する民話の語り方をとらえ返すなかで、「方言」をどう語りに活かしていくか、その「可能性」を考え直すものでしたが、みなさん、それぞれ日頃の悩みを思い返すよい機会となったのではないかと思います。
参加者からお寄せいただいたアンケートにも「民話を語ること、聴くこと」に対して、みなさんが真摯に向き合っていること、そして、今回の報告をそれぞれの立場や考え方からさまざまに受け止めていることが伺われました。
後半の「語りの交流会」では、7名の語り手さんが個性豊かな民話の語りを披露してくださいました。
語ってくださった話は、「粗忽宗兵衛」、「白龍湖の琴の音」、「月のうさぎ」、「すずめと猿」、「キクかぼちゃ」、「情けの涙」、「化け石」です。
ご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
(民話研究センター長 佐藤 晃)
文責:民話研究センター
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