お知らせ

平成25年度 入学式

 4月5日(金)13時30分から、やまぎんホール(山形県県民会館)において、東北文教大学・東北文教大学短期大学部の入学式が行われました。入学生の人数は次の通りです。

東北文教大学
 人間科学部 子ども教育学科 81名
東北文教大学短期大学部
 総合文化学科 58名
 子ども学科 101名
 人間福祉学科 77名
 留学生別科 7名

以上計324名の入学生が、2年後あるいは4年後を目指して日々の勉学をはじめとした学生生活に励むことになります。

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 以下に、内田英子学長の式辞を掲載します。


平成二十五年度入学式 式辞

 冬がいくら厳しくても、春は必ず来てくれます。山形でももうすぐ桜が咲き始めることでしょう。春のよき日に、大学という新しい世界へ一歩踏み出す皆さん、学校法人富澤学園東北文教大学・東北文教大学短期大学部へのご入学、誠におめでとうございます。

 本日の入学式には山形市長市川昭男様、韓国正義女子高等学校長 趙 錫済(チョウソクチェ)先生はじめ、多数のご来賓と保護者の皆様のご臨席を賜り、共に新入生を大学へ歓迎できますことは、教職員一同にとりまして、まことに喜ばしく、かつ、身の引き締まる思いがいたします。

 ことに、今年は、東北文教大学は開学四年目を迎え、一期生から四期生までが揃う記念すべき入学式となりました。学生たちそれぞれの夢を育て、二年後或いは四年後に、皆さんを立派な社会人として送り出すために、私たちは最善を尽くすことをお約束いたします。

 新入生の皆さんが明日から学ぶべきキャンパスでは、四季それぞれに美しい姿を見せてくれる蔵王の山々と、元気のよい先輩たちと教職員が皆さんを心から歓迎します。町からは少し離れていますが、静かな田園地帯で、勉強するには最適の環境です。どうぞ、自分が立てた目標や夢に向かってしっかり勉強してください。

 夢を持つこと、希望を持つことは人間にとって生きていく原動力になります。そのために人間は学といっても過言ではありません。東北文教大学も短期大学部も、今から87年前に皆さんより少し年上の若い女性が山形市に開いた小さな裁縫女学校が大きく成長したものです。いわば、彼女の夢の結晶といえましょう。彼女の名前は佐藤カネさん、結婚して富澤カネさんとなりました。富澤学園の創設者の一人です。

 彼女は元々裁縫や手芸が好きで、教員になろうと現在の共立女子大学の前身である共立女子職業学校で学んでいる間に、東京で大正12年(1923年)に起きた関東大震災に遭遇しました。関東大震災の後に来た昭和の大恐慌で日本の農村地帯は疲弊し、若い女性の人身売買が行われるようになりました。テレビドラマ「おしん」の時代です。このような状況を見て、彼女は「社会的にも経済的にも自立できる女性」の育成を目指して、職業教育を行う小さな学校を開き、夫である富澤昌義氏とともに、私立学校としての基礎を固めていきました。小さな学校は第二次世界大戦の混乱期を乗り切り、現在の山形城北高等学校となり、その間、48年前に開学した山形女子短期大学は東北文教大学、東北文教大学短期大学部へと発展してきました。

 個人が設立する私立学校には、創設者たちの教育にかける基本理念が明確に示され、学園内の各学校や幼稚園の教育において精神的支柱となる「建学の精神」があります。富澤学園の建学の精神は、「敬・愛・信」というわかりやすい言葉で表現されている道徳律です。創設者たちは、生徒達に技術と教養を身につけるばかりではなく、人間として最も大切なことを学んで欲しいと願いました。それは、「人を敬い、人を愛し、人を信じること」であり、翻っては「人に敬われ、愛され、信頼される人間になって欲しい」という願いがこめられています。

 敬う対象は年上の人とか目上の人に限ったことではありません。皆さんが日々の生活や将来的には仕事の上で、または長い人生において出会う人々です。大人も子どもも赤ちゃんもいるでしょう。その人々を人間として尊重し、愛情を持って接して、信頼することです。この建学の精神は、富澤学園で学んだ全ての人々、いまやその数は五万人を超えている卒業生の胸に、人生の指針として刻み込まれています。そして、今年入学する皆さんの胸にもしっかり留めておいて頂きたいと思います。

 今日、ここに集まった皆さんの前には、未来へ続く道が見えていることでしょう。その道を歩むことが出来る幸せに感謝して、一歩一歩自分で歩いてください。大学では、自分が目指すものに向けて、自分の価値と可能性を高めるために、自分で学ぶものを決めるという大きな自由があります。

 自由があるということは、責任も伴います。それは、与えられた知識や情報、技能を覚えるだけではなく、課題を見出し、研究し、発表するという課程で培われる「自ら学ぶ」という姿勢を自分の中に育てることです。この自ら学ぶ姿勢が社会に出たときに役に立ち、人生を豊かにしてくれます。この姿勢を育てるために、大学の教職員は皆さんの成長を見守り、必要なときには助言を与えてくれるでしょう。

 しかし、あくまでも、学ぶ主役は皆さんです。辛いことも苦しいこともあるかもしれませんが、夢を叶えるためのチャレンジと受け止めて、逃げずにしっかり対応してください。努力すれば、必ず道は開けます。日々の努力を惜しまない学生たちは確かな成長を見せながら卒業していきます。皆さんの二年後、四年後が楽しみです。

 大学生活は勉学第一ですが、それだけではない楽しさがあります。同じ目標に向けて切磋琢磨する新しい友人がたくさん出来ることでしょう。人生の師や生涯の伴侶にめぐり合えるかも知れません。ある卒業生の言葉ですが、勉強よりも友達との語りが何よりも楽しかったそうです。長い人生の中で最も耀いている青春時代を過ごすことになる東北文教大学・同短期大学部で、皆さんが自分の世界をもっともっと広げて、日々変化する社会情勢・国際情勢にも目を向け、未来に向かって大きく成長するよう願っています。

 本学では、1つのキャンパスに2つの大学が存在するという形になっていますが、学生たちは自由に交流し、部活動やボランティア活動も盛んです。春のスポーツ祭と秋の大学祭には、全学挙げて盛り上がります。楽しみにしていてください。

 また、本学には大きな大学には見られない暖かい空気が流れています。学生と教職員の間が非常に近く、学内には明るい笑顔と元気な挨拶が溢れています。笑顔と挨拶はいくら使っても減らない素晴らしい財産ですので、どうぞたくさん使ってください。

 最後になりましたが、本日の入学式にご列席いただきました保護者の皆様、手塩にかけて育ててこられたご子息・ご息女の東北文教大学または短期大学部へのご入学を心からお祝い申し上げます。私たち教職員一同は、本学の教育目的を達成するために最大の努力を尽くすことをお約束いたします。皆様からの率直なご意見やご相談は、何よりもありがたいことですので、どうぞご遠慮なくお寄せください。

 また、ご来賓の皆々様におかれましては、年度初めのご多忙の中、入学式にご列席いただき、若い人たちの入学を私どもと共に祝っていただきまして、まことに有難うございました。これからも本学に対してますますのご指導とご支援をお願い申し上げます。

 では、新入生の皆さん、東北文教大学・東北文教大学短期大学部の学生であることに誇りを持って、しっかり勉学に励み、実りの多い学生生活を送って下さい。以上をもちまして式辞といたします。

平成二十五年四月五日 学校法人富澤学園 東北文教大学・東北文教大学短期大学部
学長 内田 英子