地域連携

「麦芽糖試験紙」の配布

麦芽糖試験紙

東北文教大学人間科学部 鈴木 隆

麦芽糖試験紙は、「唾液の働きを調べる実験」で、デンプンが分解してできた糖(主に麦芽糖)の検出を、ベネジクト溶液のように火を使うことなく、リトマス試験紙の感覚で簡単に検出できるように開発したものです。したがって、小学校における「消化」のところでも発展内容として活用できます。

使用上の注意

麦芽糖試験紙は酵素反応を利用していますので、発色までの時間や色調が安定するまでの時間が室温に依存します。室温が25℃付近ではすぐ発色しはじめ、3~4分程で色調が安定します。室温が15℃以下の場合、息を吹きかけて試験紙を温めると発色が早くなります。


対照実験区で麦芽糖試験紙が発色したときは、使用したデンプンに含まれている麦芽糖やブトウ糖によると考えて下さい。しかし、ブトウ糖より麦芽糖が多く含まれています。パンやごはんにも麦芽糖やブトウ糖は含まれています。対照実験区を陰性にしたいときは、デンプン溶液はバレイショデンプン(片栗粉名で市販)を用いて作って下さい。1%以下であれば、対照実験区は反応しないはずです。可溶性デンプンは反応します。


どのようにしても対照実験区が陰性にならないときは、目標実験区と対照実験区の色調には濃淡の差がでるはずですから、濃淡の差から考察させて下さい。このようなときはベネジクト液でも陽性になるはずです。


麦芽糖試験紙は性質上、ブトウ糖にも反応しますが(ベネジクト液も同様です)、「唾液の働きを調べる実験」では麦芽糖が主役ですので、この点は気にしないで下さい。


試験液に麦芽糖試験紙を浸すと麦芽糖試験紙から薬品が溶け出し、試験液の性質が変ることがあります。同じ試験液を繰り返し使うときはスポイトやガラス棒を使って試験液を麦芽糖試験紙につけるようにして下さい。試験液は1、2滴で十分です。多量につけると試験液に試験紙の成分が溶け出し、色調が不明瞭になります。このとき麦芽糖試験紙をスライドガラスやサランラップの上に置いて行うと机上を汚さないで済みます。色調をはっきり見せたいときはスライドガラスやサランラップの下に白い紙を敷いて下さい。


ガラス棒の代りに割箸を使うと、割箸によっては割箸に含まれているブトウ糖のために麦芽糖試験紙が発色することがあります。割箸に水をつけて、その水の反応を麦芽糖試験紙で確かめて下さい。


「唾液の働きを調べる実験」中のデンプンが糖に変ることは、ヨウ素液をたらした溶液を用いて調べることができます。もし試験紙に溶液をつけたとき対照実験区の青色が気になるときは、ヨウ素液をたらす前に目標実験区と対照実験区の溶液をそれぞれ2つに分け、片方はデンプン、もう1つを糖の検出に使って下さい。ヨウ素液をたらす前に試験液をつける方法が一番簡便ですが、デンプン→糖という指導の流れが混乱するかも知れません。


咀嚼回数と試験紙の色調変化のような実験を計画すると、食パンやごはんの唾液による変化を、糖への変化だけを調べることになりますが、咀嚼物を吐き出させることなく口の中だけで行うことができます。このとき試験紙を口の中で使うと薬品が溶け出して危険ですから、咀嚼物を少し小指などにつけてそれを試験紙につけるようにして下さい。


[麦芽糖濃度と色調]

色調は濃紫色です。色調の濃淡より0.01~3%の範囲で麦芽糖の濃度を半定量できます。

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[保存方法]

強光と多湿を避けるため、遮光して冷凍庫で保存してください。少なくとも6ヶ月は性能を保持できます。

お問い合わせ

両試験紙とも市販されていません。
試験紙についてご質問がある場合や入手方法を知りたい場合は、
E-mail( )あるいは
電話(023-688-2298(代表))等でお問い合わせ下さい。

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