大学紹介

令和5年度入学式 学長式辞

式 辞

   

東北文教大学、そして東北文教大学短期大学部に入学された皆さん、御入学おめでとうございます。私は、この優れた学び舎である東北文教大学、そして東北文教大学短期大学部に入学された皆さん一人ひとりを心から歓迎します。本日ご出席くださった保護者の皆様、お子様の御入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。また、本日の入学式には、東北文教大学保護者会副会長の中村明美様、同じく副会長の樋口友和様、教育後援会会長の長谷川憲治様、副会長の佐藤幸蔵様、東北文教大学「耀」同窓会会長の佐藤克子様をはじめ、東北文教大学山形城北高等学校、東北文教大学附属幼稚園、そして社会福祉法人「敬愛信の会」の方々を御来賓としてお迎えしております。御来賓の皆様、御臨席を賜りありがとうございます。

さて、新入生の皆さん。皆さんは、どのような高校生活を過ごしたのでしょうか。新型コロナウイルスの感染が広がった影響で、思い描いていたようなことができなかったかもしれませんね。しかし、そうしたコロナ禍の中での高校生活であったからこそ、あらためて気づくことや通常であれば経験しないようなことを経験するということもあったのではないでしょうか。そうした思いや経験は、けっして無駄なことではありません。そうした思いや経験をバネにして、これから始まる学生生活を元気で充実したものにしていってほしいと思います。

「できないことを諦めるのではなく、できないことを行うためには、どう運営すべきかを考える。」これは、昨年、大学祭の実行委員長だった川越妃夏さんが、本学の保護者会・教育後援会の会報で述べている言葉です。大学祭を実施しないという選択もあり得た状況のなかで、あきらめることなく、前例を踏襲するのではない、新しい試みによる大学祭を企画し、実施する道を選び、仲間たちと協力して、立派にそれを実現させたのでした。

本学には、そうした実行力のある学生や、スクールサポーターなどのような実践的活動を積極的に行う学生がたくさんいます。皆さんの先輩たちは、そうして確かな知識と実践力を身につけ、社会に巣立っていきましたが、小学校の教員採用試験や介護福祉士国家試験の合格実績において、あるいは保育や福祉を中心とするさまざまな分野への就職実績において、大変優れた成果をあげて、みな卒業していきました。それは、目に見える形となって現れた本学の学びの成果であり、このことを学長として誇らしく思います。

皆さんは、今日から、東北文教大学というコミュニティの一員となりました。皆さんが晴れて卒業の日を迎えるまで、私たち教職員は、皆さんの学びを指導し、惜しみない支援をしますので、どうか元気に学生生活を過ごしてほしいと願っています。

さて、入学式の今日、学生生活の第一歩を踏み出した皆さんに、学長として、今だからこそ伝えておきたいことをこれから二つお話ししようと思います。

その第一は、今日から皆さんの「学び舎」となる東北文教大学の理念や理想についてです。私たち東北文教大学は、さまざまに具体的な課題やテーマを掲げて大学としての活動を行っていますが、その中核にあるのは「人」です。人は、人の中で育ち、人と関わり合い、人を支え、人に支えられて生きています。そのことを深く理解し、優れた専門性と豊かな人間性を持ち、社会に貢献する実践的な人間を育てる。これが本学の教育の基本的な方針です。皆さんは、本学の学生として、「人」についての問題や課題を探求する主体であるとともに、自らを「人」として育てていく主体でもあるのです。東北文教大学は、そうした学生が学び、集う大学でありたいと考えています。そうした本学の理念や理想は、本学の建学の精神である「敬愛信」という言葉で表されていますので、「敬」、「愛」そして「信」という三つの言葉について、お話しします。

私は、この言葉が意味することを次のようにとらえています。「敬」は「尊敬する」という言葉の「敬」です。「敬」は、人が自分自身を高めようと思い、学ぶ、その学びの原動力となるものです。「愛」は「愛する」の「愛」。「愛」とは、人が誰かに、あるいは何かに関心を持ち、そしてそれを大切にする思いです。そして「信」。「信じる」という言葉の「信」です。「信」は、未来に向かって生きていこうとする人の意志を支えるものです。

近年は、AIすなわち人工知能が発達して、社会の中で、さまざまな活用が進んでいます。一般的には、人間を相手にする職業はAIには置き換えられないと思われていますが、実はそうでもなくて、人間とコミュニケーションをとるAIも出てきています。最近、私も、AIが電話で簡単な会話の応答しながら日程調整をしてくれるという経験をしたばかりです。今後、人工知能は、さらに性能が進化し、労働力として社会を支えていくでしょう。私たちの職業の種類や形態は、それに伴って変化もしていくでしょうが、感情や精神を持つ生き物としての人間が人工知能を利用し、その助けを借りながら、社会を構成するという基本的な図式は変わらないはずです。いや、変えてはならない原則であろうと思います。「敬」、「愛」、「信」という理念は、すべて人間ならではの精神であり、人が人として育ち、人が人と繋がり、そして未来に向かって生きていく、そのための大切な原動力となるものです。「人」を中核とする本学の教育と研究の根底に「敬愛信」の理念があるということを、私はこのように考えています。皆さんも「敬」「愛」「信」をそれぞれにおいて感じ取り、大切にしてほしいと願っています。

今だからこそ伝えておきたいことの二つ目は、皆さんの学生としての生活についてです。学生生活を成功させるにはどんなことに注意するべきなのか。私は大学教師として、これまで実に多くの学生諸君と接してきました。これからお話することは、その経験から得られた、皆さんへのアドバイスだと思って聞いてください。三つあります。

その一。自分は将来どういう人になりたいのか、どういうことができるようになりたいのか、その思いを持つ。そして、いまやるべきだと思うことをやる。これが大事です。大学は、学び舎として、それができるところです。人生の実験室です。失敗があることは織り込み済みなのです。将来への思いを持ち、それに近づくように、いまやれること、やるべきだと思うことをやってみることです。

その二。時間や生活習慣をしっかりと自分でマネジメントする。これもとても大事です。時間や生活習慣に注意せよなど、地味なアドバイスだと思うかもしれませんが、卒業というゴールに向かって学生として走り続けるためには、健康な状態を意識的に作るようにすることが必要なのです。忘れないでください。

その三。良き友人を持つことです。そして自分自身も誰かの良き友人となることです。学生として毎日を懸命に生きていると、ときには、苦しいときも辛くなったりするときもあるものです。本学は、皆さんをサポートするための体制を整えていますので、必要なときは積極的に活用してほしいと思いますが、良き友人や良き先輩たちは、とても心強い支えとなるものです。良き友人と出会えただけでも、よい学生生活だったと言えるほど大事なことだと思います。

皆さんが、充実した学生生活を送ることができることを願って、将来への思いを持って行動すること、自分をマネジメントすること、そしてよい友を持つこと、この三つをお話しました。

東北文教大学で、本当の学びを経験し、充実した学生生活を過ごし、それぞれの未来に向かって学び続けていける人間になってください。結びに、皆さんのすべてが、これから始まる学生生活の道のりを一歩ずつ元気に進んでくれることを祈念して式辞とします。

 

令和5年4月7日

東北文教大学

東北文教大学短期大学部

学長  須賀一好