2019年度入学式
おおらかな山形の大地が生き生きと躍動し始める、この春の良き日に、こうしてみなさんを本学にお迎えできることは学長としてこの上もない慶びです。
新入生のみなさん、入学おめでとうございます。東北文教大学、東北文教大学短期大学部の教職員を代表し、みなさん一人ひとりを心から歓迎します。
本日の入学式には、「保護者会」会長大澤哲夫様、「教育後援会」会長長谷川憲治様、「耀同窓会」会長佐藤克子様、大韓民国正義女子高等学校長柳南淑様をはじめ多数の御来賓の方々にも御臨席を賜っております。本日、ともに新入生を歓迎してくださり、教職員一同大変喜ばしい思いでいっぱいです。
さて、この春、本学に入学し、大学生活の最初の扉を開けたみなさんに向けて、学長として二つのことをお話ししたいと思います。一つ目は、本学の教育と研究についてです。
東北文教大学人間科学部と短期大学部は、特に子どもの教育や保育、人間の介護や福祉、そして人間の文化について教育と研究を行っています。それらのすべてを貫き、中心にあるのは「人間性」であると言えるでしょう。「人間性」について深く理解し実践する力を身に付ける。これが本学の教育における基本的な考え方です。そして、その根底には、学園の建学の精神である「敬・愛・信」があることも、本日入学される皆さんにはお伝えしたいと思います。
本学の教育の基本的な姿勢は、学園の建学の精神である「敬・愛・信」に基づいています。「敬」は、尊敬の「敬」。それは、人が高みに向かおうとするとき、その心にある思いです。「愛」は、愛情の「愛」。それは、人が誰かを、あるいは何かを大切にしようとする思いです。そして「信」は、信頼の「信」。それは、人と人とのつながりを支える思いであると言えるでしょう。本学で学ぶ皆さんには、人間性豊かな、社会に貢献できる実践的な人間になってほしい。そして人生において「敬・愛・信」が大切であるということを感じ取れる人間になってほしいと願っています。
先日、ある新聞の読者からの投稿記事が目に留まりました。投稿者は、山形県内の高校3年生です。書かれている内容は、次のようなものでした。
近年、人工知能やロボットがさまざまな仕事をこなすようになった。ロボットに仕事をとられてしまうのではないかと懸念を抱く人もいる。自分は将来、看護師になりたいと思っている。ロボットには人間以上の優れた能力もあるけれども、「不安な気持ちで病院に来ている人の緊張や不安をやわらげることができるのは断然人間のほうだ。」だから、自分は、人工知能に負けないようにしたい。新聞の投稿記事の内容は、おおよそこのような内容でした。そして、その文章は、「人間力を磨いていきたい。」という言葉で結ばれていました。
人間は、人工知能やロボットと比べると完璧な存在ではありません。このため、「人間性」つまり人間的であるということに対しては、合理的ではない、効率的ではないなどと否定的に評価されるような側面もあります。しかし、この投稿者は、人間の持っている可能性に気づいています。人間の持つ複雑で総合的な知性・感性の力に気づき、それを伸ばしていきたいというのです。私は、この文章を読んで、この方はきっとその志を実現させ、優れた看護師になるだろうと思いました。
みなさんにお話ししたいことの二つ目は、これから始まる大学生活の過ごし方についてです。大学生活を成功させるために、どのように毎日を過ごすべきか。その答えはとてもシンプルです。
その1。大学の授業や実習には真正面から取り組みましょう。大学は、2年間、あるいは4年間をかけて、教育目的の達成のために、特にプログラムを組んで教育を行います。みなさんは、その部分、部分を少しずつ学び、成長していくことが期待されているのです。初めのうちは、その成果を実感しにくいでしょう。しかし、その積み重ねが大事なのです。その一つひとつに真摯に取り組んでほしいと思います。
そのために、本学では、みなさんを手厚くサポートできるよう、学びの基礎を支える「学修支援センター」をはじめ、さまざまな支援体制を整えています。教職員が一体となって、学生の一人ひとりを把握し、必要な支援を必要な時に行うことで学生生活での不安やつまずきを解消するようにしています。失敗を恐れずに、全力で勉強に取り組んでください。
実行してほしいこと、その2。自分の学生生活は自分でマネジメントしましょう。どのように一日一日を過ごすべきか。自分が自分のマネージャーとなって、時間や生活習慣を適切に管理するということです。大学生活は、人任せではなく自分で決めることが求められます。このマネジメントをいい加減に考えてはいけません。自分の身体を健康に保ち、「良く学び、よく遊ぶ」ことができるように、毎日をしっかりと管理しましょう。
実行してほしいこと、その3。ともだちを作りましょう。 大学生として過ごす日々は、人生の最良の時期ともいえる数年間です。しかし、その間、常に順風満帆というわけではありません。苦しいときや方向を見失いそうになるときもあるでしょう。そんなとき、信頼できる友人は、きっとあなたを支える一人になってくれるはずです。もちろん、そのためには、あなた自身も信頼される良き友人とならなくてはいけません。
以上、大学生活を成功させるための三つのこと、勉強には真摯に取り組み、生活をマネジメントし、良き友達をつくる。この三つについてお話ししました。
本学に入学し、社会に巣立っていった学生は、みな、本学での学生生活を通して、それぞれの専門性を身に付け、ひたむきに学ぶことの大切さを感じ取り、課題を探求することの喜びに気づき、実践によって得られる感動を体験しながら大きく成長します。私たち教職員は、学生諸君と日々接することをとおして、それを知っています。
私たちが感じているその手ごたえを裏付けるような、ある調査結果が昨年発表されています。ある新聞社系の出版社の出した「価値ある大学2019年度版」には、進学した人を除くすべての卒業生の就職率である「実就職率」が東北文教大学は98.7%であり、それは調査対象の全国575大学の中で第8位であると載っていました。就職率は大学の教育力の主要な指標となるものです。職業に向けた教育と支援が本学は全国有数の高いレベルで達成できているというのです。私たち教職員は、これからも本学の行っているきめ細かな指導や支援に自信を持って臨み、本学がよりいっそう教育力のある大学となるよう、惜しむことなく努力します。
最後になりましたが、本日入学された御子息、御息女をこれまで見守り、支えてこられた保護者や御家族のみなさまに対しましても、御子息、御息女の御入学を心よりお祝い申し上げます。
また、御来賓のみなさまには、本日の入学式に御列席賜りましたこと、あらためてお礼申し上げます。今後とも、本学への御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
新入生のみなさん、どうかそれぞれの夢や志が将来実現するように、これから始まる学生生活に元気に取り組んでください。そして自分の可能性を信じてください。東北文教大学、東北文教大学短期大学部は、本日入学されたみなさんが卒業の日を迎えるまで、みなさんの学びを応援し、必要な支援をしていくことをお約束し、式辞とします。
2019年4月5日
東北文教大学
東北文教大学短期大学部
学長 須賀一好