37 天人女房むかしあったけど。あるどこに漁師いて、漁しったどこさ、天から大したきれいな羽衣着った衆ぁ来て、水浴びしったもんだからて、その羽衣一つ隠しったごんだどな。そうしてはぁ、天女上(あ)がらんねもんだから、いたどこさ行って、 「おら家さあえべ」 て言うて、そこの家の嫁にしてはぁ、子ども出て、そして子どもが泣くじど、旦那は子どもさ羽衣隠しったな見せて、だましだましして、 「決して、おっかさんさ言うなよ」 ていた風だけな。そして泣くど。その旦那、羽衣もって行って見せる。 ある日、その旦那の留守の、どさか行った後に、その子どもだまして、そして羽衣きて、そして、 「おれどさ会いに来たいときには、この朝顔の種子置っから、朝顔蒔いて、長い手立てて、そして登って来い」 て言わっで、そしておかぁさんが、その羽衣見つけて、出して着て行ったどこだけな。そしたらば、上からおかぁさんが手出して、 「いまちいと、いまちいと」 て言うて、子どもばりヒョイと取って行ってはぁ、子どもばり育てたけど。とーびったり。 |
(大石きみよ) |
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