41 瓜姫子と天邪鬼 

 むかし、じいちゃとばぁちゃいやってな、川さ洗濯にばっちゃは行く、じっちゃは山さ柴刈りに。
 川上から大きな瓜ぁ流れて、そいつをばぁちゃが拾ってきて、しまっておく。
「じいさんと分けて…」て、しまっておくうちに、夜、子どもの泣く声ぁする。行ってみたればやっぱり瓜ぁ二つに分れて中から、愛らしい赤子の子ぁ出てきた。
「おらだ、こりゃ子ども持たねから、神さまのお授け」
 て思って育てていたずだな。そしたれば、大きくなって機織りしたいて、そして機織りを機師拵って呉れだずだな。そして機織りして、
「何好きだ」
 て言うたらば、
「トコロゆでて食たい」
 て言わっで山さ掘りにじいさんとばぁさんが行ったずだな。したら、
「ここに、天邪鬼ざぁいたから、天邪鬼来たら決して戸あけんな」
 て教えらっじゃげんども、機織りしているうちに来たずも。「戸を開けて呉ろ」って。「裏の畑さ桃もぎにあえべ」て。
「とても、じいさんとばぁさんが厳しいから戸開けらんね。開けんなて言わっで開けらんね」
 て言うたげんども、
「少し、指の入るほど開けてくろ」
 そして、指の入るほど開けたら、
「少し、五本の指、みな入るほど開けて呉ろ」
「とても、そがえに開けらんね」
 そして五本の指、何べんも願わっで開けたど。そしたら天邪鬼、ガラリ開けて入って来て、
「瓜姫子、裏の畑さ桃もぎに歩(あ)えべ」
 て、連れて行がっだど。そしてはぁ、裏の畑で殺さっでしまったど。そして瓜姫子に化けて、そして帰って来て、機織りしったど。
 じいさんとばぁさん、山から帰ってきたら、「どうしてこんなに、機師(はたし)の音悪がんべ」
 て、表で不思議立てたど。そしたらやっぱり瓜姫子に化けては、いたげんども、瓜姫子より悪いじだな。顔つきは…。そしてるうちにやっぱり天邪鬼だということ分って、そしてはぁ、じいさんとばぁさんが怒って裏の畑さ連れでって、やっぱり殺してしまったって。とーびんさんすけ。
(男鹿てつの)
>>中津川昔話集(上) 目次へ