シラバス

保育者論

開講年次：4年次

卒業：選択　　保育士：必修

開講時期：前期　授業形態：講義　授業回数：15 回　時間数：30 時間　単位：2 単位

足　立　佳　菜

■ 科目のねらい
この科目は、教育・保育を構想し、具体化し、実践するための基礎的知識を身につける専門教育科目であり、幼児期の保育・教育の担い手であるの保育者の職務内容、意義や役割などの基本的事項を理解するとともに、専門職としての保育者のあり方を多角的に捉え、柔軟な保育者観を形成することをねらいとする。

■ 授業の概要
保育者の専門性とは何かという問いを授業全体の軸としながら、保育者の職務内容、倫理、制度的位置づけ、保育および保育者に関する現代的課題について学習し、保育者に求められる役割について理解を深める。
これによって保育・教育職の特徴や役割、課題について多角的に捉え、自身の保育者観を形成し深めることを目的とする。授業では適宜他者との意見交換の場を設ける。

■ 達成目標・到達目標
①保育者の役割について、保育者が関わる様々な他者・他機関との関係性から多角的に説明することができる。
②保育者の専門性とは何かを自分なりの言葉で説明することができる。
③保育に関する社会的課題と関連づけ、これからの保育者に必要な資質・能力を説明することができる。
④授業受講前後の自身の保育者観を比較し、その違いを具体的に述べることができる。

■ 単位認定の要件
上記4項目の達成状況がそれぞれ60％以上であること。

■ 単位の認定方法及び割合
期末試験：60％　授業内提出物：30％　授業内活動：10％

■ 授業計画

第1回ガイダンス

：授業概要の説明を聞き、学びの見通しを持つ。自分の現状の保育者観を見える化し、他者と共有する。

第2回保育・保育者の現代的動向

：保育者の基本的定義の整理と、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」改訂の背景をおさえる。

第3回子どもとの関係から考える保育者

：これまで他の授業や実習での学びを通して培った保育者に求められる資質・能力について、グループワークで意見交換し、整理・統合する。

第4回歴史から考える保育者

：これまでの保育・保育者の歴史について知り、保育者の役割についての理解や、現代の保育者の特徴について理解を深める。

第5回社会・世界との関係から考える保育者

：子ども観の変遷に関する理解、虐待、子どもの貧困等の子どもに関わる現代的社会問題について理解を深め、保育者としての責任と役割を考える。チャイルドアドボカシ―概念について知る。

第6回法令・制度から考える保育者

：保育者に関わる法令や倫理綱領等を知り、保育者の社会的責任や倫理について理解を深める。

第7回実践家としての保育者

：KPIの手法を用い、理念を具体化するスキルについてワークを通して学ぶ。

第8回保護者・家庭との関係から考える保育者

：これまで他の授業や実習での学びを通して培った保護者連携の知識について整理するとともに、現代の家族形態の多様性や保護者の抱える課題について理解を深め、保育者としての役割を考える。

第9回幼・保・小の関係から考える保育者

：ECECという考え方に基づき、教育の側面の理解を深めるとともに、保育者としての実践の工夫を考える。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の理解と活用を考える。

第10回未来との関係から考える保育者

：これからの社会やこれからの子どもたちに求められる資質・能力について理解を深め、未来社会を担う子どもたちを育てる保育者の役割について考える。

第11回他機関・同僚との関係から考える保育者

：社会的課題の理解とも関連付けながら、職場内・外における保育者の協働性について理解を深める。

第12回保育者としてのコミュニケーションスキル

：多様な他者と関わる保育者としての言語能力について、知識理解とワークを通して学ぶ。

第13回保育者の専門性

：反省的（省察的）実践家の概念を知り、保育者の専門性について理解を深める。

第14回保育者としての自分について考える

：保育者としての学びと成長の必要性やライフコースの理解を通して自身のキャリア形成について考える。

第15回リフレクション

：授業での学びを通した自身の考え方の変化などについて整理・言語化する。授業全体の疑問点等について他者と共に理解を深める。

第16回期末試験

■ 時間外学修
授業中に初見用語や気づき・疑問点を適宜メモし、授業後に授業資料と共にそれらをふり返ること。（各回約2時間）
授業外において授業に関連する情報を得たり、問いが浮かんだ場合は、積極的にメモをすること。（各回約0.5時間）
適宜指示する「次回までの課題」を実施すること。（約5時間）
配布資料や参考文献で自学を進めること。（各回約1時間）

■ 課題に対するフィードバック
授業内提出物（主に各回コメントペーパー）はその後の授業内で取り上げ、授業全体の学習材料として還元する。
期末試験は希望者に対し個別のフィードバックを行う。

■ 使用テキスト・教材
テキストは指定せず、授業中に教材資料を配布する。

■ 参考文献等
・髙橋貴志（2017）『これからの保育者論―日々の実践に宿る専門性―』萌文書林
・榎田二三子ほか（2017）『改訂保育者論［第3版］』建帛社
・小川圭子（2017）『シリーズ知のゆりかご保育者論―子どものかたわらに―』みらい
その他、適宜授業内で紹介する。

■ 備考
・テキストとしては指定しないが、参考文献のうち最低1冊を入手し、自身で学びを深めることが望ましい。

2019年度 シラバス 人間科学部 子ども教育学科

2019年度　シラバス　　人間科学部　子ども教育学科