シラバス

教育の方法と技術

開講年次：3年次

卒業：必修　　保育士：選択　　小学校教：必修　　幼稚園教：必修

開講時期：前期　授業形態：講義　授業回数：15 回　時間数：30 時間　単位：2 単位

眞　壁　　　豊

■ 科目のねらい
この科目は、教育・保育の現場で実践するために必要となる基礎的な知識・技能の修得を目指して、専門教育科目の「保育・教育の理解」に区分されており、小学校教諭一種免許状、幼稚園教諭一種免許状の必修科目として配置している。
教育現場において教育・保育を構想し、具体化し、実践するためには、教育内容を確実に学習者に理解を促すための戦略が必要となる。この科目では教育の方法論にトピックを絞り、あらゆる教育者の場面において、戦略的にカリキュラムや各時における教育の戦略を提案し、それを「指導案」という形で具体化するための知識・技能を方法を学ぶ。（DPに対応する中項目：①②③）

■ 授業の概要
この授業では、まず具体的な「学習目標」の立て方について扱い、その後、学習者の状況を把握するための各種テスト、授業の組み立て方などについても扱う。
自身がこれまで受けてきた教育を振り返り、また情報手段の活用やアクティブ・ラーニングの視点など、現代的な教育の手法に関する理論を学ぶ中で、自らが学習者を意識した、指導案や部分案を提案できる実力をつける。

■ 達成目標・到達目標
・前提条件と学習目標を明確に切り分け、それぞれの条件を明確に記述することができる。
・学習内容の分析と、学習意欲を高める戦略に基づき、指導プランを提示することができる。
・学習目標の種類に応じて、適切な評価方法を選択し、評価のための道具を作成することができる。
・教育の情報化の現状を理解し、自らの言葉で幼児期における情報化に関する事項について述べることができる。

■ 単位認定の要件
上記達成目標・到達目標に関連する指定された課題を、要件を満たした上で全て提出すること。

■ 単位の認定方法及び割合
期末レポート：40％　授業内提出物：40％　授業内活動：20％

■ 授業計画

第1回教育と学習、学習目標について

この授業で頻繁に出現する言葉である「教育」「学習」の定義について扱う。また「学習目標」の明確化が最初にこの授業で目指す目標であることを確認する。最後に、これまで教わってきた先生がどのような「工夫」をしてきたのかを想起する。（遠隔授業）

第2回学習目標の明確化

明確化された学習目標を記述できるために、それぞれのポイントを押さえ、実際に学習目標を記述してみる。（遠隔授業）

第3回学習目標の明確化と３つのテスト

指導を行うに先だって学習者を分析する必要があること、また授業の責任範囲を決めるため、前提条件と学習目標を定めることと、３つのテストの意義を扱う。（遠隔授業）

第4回 ICTを用いた教育の可能性

本学におけるGoogle Classroonを通した遠隔授業を通して、対面ではないICTを用いた遠隔授業による教育を振り返り、可能であれば、幼稚園教育・小学校教育に向けた適用について自分の言葉で述べることができるようにする。（遠隔授業）

第5回ガニェの学習成果の５分類

正しく学習内容を教えるためには、学習目標が持つ性質を５つの分類に分けて理解しなければならない。「ガニェの学習成果の５分類」に基づいて、どのような学習目標においても、この５分類に分類できるようにする。（遠隔授業）

第6回授業パッケージ作成（１）授業企画書

科目を通じて進めていく「授業パッケージ」のおおもととなる「授業企画書」について。

第7回授業パッケージ作成（２）課題分析図の作成

学習成果の５分類ごとの、課題分析手法と、課題分析図について扱う。そして、先に作成した「授業企画書」をもとに、「課題分析図」を作成してみる。

第8回指導案・日案作成のための作戦（１）

ガニェの９教授事象をもとに、授業の導入～展開～まとめの流れについて、客観的に把握できるようにする。

第9回授業パッケージ作成（３）指導案・日案の作成

学習指導案・日案と、教育方法の理論との対応について。

第10回評価について

そもそも、なぜ評価をし、評価をされないといけないのか。その意義と簡単な評価方法、さらに学習成果の５分類ごとに望ましい、適切な評価方法を扱う。

第11回アクティブ・ラーニング

アクティブ・ラーニングの基本的な考え方、アクティブ・ラーニングに基づく授業改善の考え方について
扱う。

第12回教育の情報化

情報化社会に関する基本的な用語や、教育の情報化についての現状を踏まえた上で、メディア活用の可能性について扱う。

第13回ミニ授業・ミニ活動（１）

グループメンバー同士でミニ授業（ミニ活動）を行い、計画に沿って教える活動を行う。

第14回ミニ授業・ミニ活動（２）

グループメンバー同士でミニ授業（ミニ活動）を行い、計画に沿って教える活動を行う。

第15回ミニ授業・ミニ活動を振り返る

ミニ授業・ミニ活動を振り返る際のポイントを押さえ、計画をより良いものにするための改善策を練る方法を扱う。

■ 時間外学修
授業とノートを振り返り、気づいた点をノートにまとめておく。（各回1時間程度）
ミニ授業に向けた各課題の提出物作成（約5回、各5時間程度）
期末課題の提出物作成（10時間程度）
教育の情報化に関するレポートの作成（10時間程度）

■ 課題に対するフィードバック
レポート等の課題については、提出された内容について全体的な理解度の状況、ならびに陥りやすいミス等について補足を行う予定である。

■ 使用テキスト・教材
稲垣忠、鈴木克明（2015）『授業設計マニュアルVer.2 教師のためのインストラクショナルデザイン』北大路書房

■ 参考文献等
向後千春（2012）『いちばんやさしい教える技術』永岡書店
鎌原雅彦、竹綱誠一郎（2019）『やさしい教育心理学第5版』有斐閣
稲垣忠ほか（2019）『教育の方法と技術～主体的・対話的で深い学びをつくるインストラクショナルデザイン～』北大路書房

■ 備考
文部科学省のサイトや、各種報道から、教育の最新動向を常に確認しておくこと。

2021年度 シラバス 人間科学部 子ども教育学科

2021年度　シラバス　　人間科学部　子ども教育学科