シラバス

ことばとコミュニケーション

開講年次：1・2年次

卒業：選択

開講時期：後期　授業形態：講義　授業回数：15 回　時間数：30 時間　単位：2 単位

黒　沢　晶　子

■ 科目のねらい
「基礎教養科目」として配置されている本科目は、地域社会や職場で豊かな人間関係を築くために必要な幅広い教養の修得をめざし、自己を取り巻く世界や環境を知り、多角的視点からものを考える力をつけることを目的とするものである。（DPに対応する中項目：①＋③⑥）

■ 授業の概要
基礎教養としての「ことばとコミュニケーション」の関係性について学ぶ。私たちが言葉を発したとき、いつも意図通りに理解されるとは限りない。ことばが生むさまざまな誤解には、どんなものがあるのか。また、ことばは変わる。ことばの用法の変化には、どんなコミュニケーション上の動機があったのか。標準語が普及し、以前に比べて方言があまり使われなくなっている。では、今、方言のコミュニケーション上の役割とは何か。このような観点から、ことばとコミュニケーションの関わりを見ていく。

■ 達成目標・到達目標
①誤解がどのような要因に基づくものかを事例を挙げて説明することができる。
②ことばの変化について、それがコミュニケーション上の動機とどのように結びついているかという観点から例を挙げて説明することができる。
③自らの方言使用をふりかえってまとめ、さらに現代社会における方言の役割について述べることができる。

■ 単位認定の要件
達成目標①～③のことが60％以上できていること。

■ 単位の認定方法及び割合
期末レポート：50％　授業内提出物：30％　授業内活動：20％

■ 授業計画

第1回ガイダンスと導入

授業の概要を紹介し、導入として、コミュニケーション力、ことばとコミュニケーションの関係を取り上げます。

第2回ことばと誤解（1）

ほめられたときの対応、お礼や謝罪はコミュニケーションに欠かせない要素です。その表現のしかたが文化によって違うことを知ります。

第3回ことばと誤解（2）

誘いや依頼などの表現を外国語から日本語に直訳すると、違和感があるケースを見ていきます。

第4回ことばと誤解（3）

断り方の違いが文化の違いに基づくものであるケースを取り上げ、ことばと文化への理解を深めます。

第5回ことばと誤解（4）

誘いや依頼を私たちはどのように断っているでしょうか。活動を通して、観察します。

第6回ことばと解釈

同じ表現なのに、感じのよさを伝えることも、その反対に反発を表すこともある「ている」。
その例を見ていきます。

第7回ことばの変化（1）

「～てもらってもいいですか」は新しいタイプの依頼表現です。この言い方が広まったのはなぜか、考えてみましょう。

第8回ことばの変化（2）

若者言葉には、ぼかしたり、強調したり、略語にしたりして、気持ちを伝えるものがあります。
若者言葉の機能について見ていきます。

第9回ことばの変化（3）

若者たちはなぜ若者言葉を使うのか。どこからはやり始めるのか。その成り立ちと目的を考えます。

第10回ことばの変化（4）

日本語の人称表現の使い方にも変化が起こっています。私たちの言語生活からふりかえってみましょう。

第11回方言とコミュニケーション（1）古い方言、新しい方言

言語と方言、標準語と共通語の違いは？若者の東北方言には古いものと新しいものがあること、
皆が気づきにくい隠れた方言について見ていきます。

第12回方言とコミュニケーション（2）方言コスプレ

「方言コスプレ」を含む方言使用は、何のために行われているのでしょうか。私たち自身の使い方を調べてみましょう。

第13回方言とコミュニケーション（3）方言の役割

高校生のとき使っていなかった方言を今SNS上で使うのはなぜか。震災の被災地にあてたメッセージが方言だったのはなぜか。ネオ方言、新方言とは何か。方言のコミュニケーション上の役割を考えます。

第14回方言とコミュニケーション（4）方言の変化と未来

かつての撲滅の対象から着脱自由なアクセサリーとなった方言の社会史、現代の方言を活かすさまざまな
取り組みを知ります。

第15回ふりかえりとまとめ

ことばとコミュニケーションについて学んできたことをふりかえり、まとめます。

■ 時間外学修
毎回の授業のテーマの中で関心を持ったものを選び、参考文献を読んだり、調査をしたりして、期末レポートの準備をします。（約6時間）

■ 課題に対するフィードバック
毎回の授業の最後に書くコメントの中からクラスで共有したいものを次の授業で取り上げ、フィードバックします。

■ 使用テキスト・教材
授業時、プリントを配布します。

■ 参考文献等
石黒圭（2013）『日本語は「空気」が決める－社会言語学入門』光文社新書.

■ 備考

2022年度 シラバス 人間科学部 人間関係学科

2022年度　シラバス　　人間科学部　人間関係学科